今日の電子技術やネットワーク技術の発達により、ユビキタス社会がすぐ目の前に迫ってきています。
そのユビキタス社会を支える基盤技術は、これまでの電子機器と同様、半導体技術とソフトウェア技術です。 しかしながら、ネットワーク技術をベースとするユビキタス社会は、これまでの電子機器の内部構成とは異なり、 柔らかいハードウェア構成が求められています。 なぜなら、それらは様々な機器とネットワークで接続されることを目的としている為、その機器上で実行する アプリケーションは常に進化し続け、それに伴なう変更は頻繁に発生する為です。 さらに、これらのアプリケーションは電子機器に組み込まれるという性質上、速度、消費電力、そして発熱対策上、 全てをソフトウェアで実行することは困難です。 従って、これらの要求に応えるにはハードウェア及びソフトウェアを容易に変更できる柔らかいハードウェア上に システムを実現することです。 柔らかいハードウェアを実現する主要なデバイスは、FPGAを始めとするリコンフィギュラブルデバイスで、 これらの設計を容易にするには、従来のハードウェア設計者向けの高度なハードウェアの最適化よりもむしろ、 組み込みシステム設計者を対象としたハード・ソフト間の移行の容易さ、そして組み込みシステムの設計者にも 設計可能な高い抽象レベルからの協調検証及びデバッグ環境を提供することです。 すなわち、ハードウェアあるいは、ソフトウェアを最小限にしか意識しないコンパイラ及びシミュレータの提供、 そして、組み込み設計者にも受け入れ易い安価な設計環境です。これらの要件を満たす設計環境は、従来のEDA ベンダが提供するハードウェア設計環境をベースとした設計パラダイムとは全く異なったパラダイムが要求されます。 しかしながら、現在、EDA及びFPGAベンダが提供し、主に推奨する設計手法は、従来通りのハードウェア記述言語 による設計環境です。 これらの設計環境では高度なハードウェアの知識が要求され、組み込みシステム設計者にとって、これらのツール による開発は困難を極め、現実的ではありません。 従って、よりソフトウェア記述に近いレベルからの開発、つまりC言語からの開発が必要とされます。 幸い、現在、SystemC等の標準言語が普及しつつあり、そのシミュレータも無償で配布され初めており、 デザイン記述及びその検証環境は整備されつつあります。しかしながら、そのデザイン自身のデバイスへの インプリメントやボード上での検証は設計者自身で行う必要がある為、非常に高度な知識が必要とされます。 最近、これらインプリメント作業を支援するため、C言語からのハイレベル合成ツールやカスタムCPUと組み合わせた ハードウェアの自動合成ツールが市場に登場し始めています。 しかしながら、これらのツールは非常に高価(数百万〜数千万円)で、かつ使いこなすにも高度なノウハウが 要求されます。 従って、依然として、ハードウェア部分の設計には、従来のLSI設計者が必要とされ、システム設計上のボトルネックと なっています。 当社の創設メンバーは過去、製品レベルのハードウェア合成ツールの開発やハードウエア・ソフトウエア協調設計に 関わる数多くの研究プロジェクトへの参加経験をもち、実際のLSI設計の現場で実績を積んできました。 当社は、これらの経験と技術をベースに膨大に存在するC言語アルゴリズムのLSI化(FPGAやASIC)を主要ビジネス として設立されました。 |